死の迎え方

「今までは”患者”ではなく”病気”をみていた」

テレビ番組に出演されていた医師の言葉だった。

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随分前のこと。ずっと私の脳裏にある記憶。
入院している祖父のお見舞いに行ったときのこと。
高齢の方ばかりの病院だった。

おぞましかった。
みんな、白い部屋に白い服をきせられ、口は開いたままベッドに並べられているだけだ。
祖父のベッドのパイプ部分は、吐いたタンまみれだった。乾いてこびりついて、落ちない。

「家に帰りたい」
これが、もしかしたら自分の死に方になるのか……。
考えたくもない光景だった。

パイプに繋がれ続ける手術をせず、安らかに家で看取られる。
そういう死の迎え方もできるのだ。
支える医療関係の方の姿勢に胸を打たれる。